クラブローゼに入店する女性の中には最初から「長く続けよう」と考えているわけではないようです。働くきっかけは学費や生活費の補填だったり、友人の紹介、あるいは好奇心といった一時的な動機も多かったです。ところが、実際に働くうちに想像していなかった気持ちの変化が訪れたのか、「もう少し続けてみよう」と考える女性もいるのです。
たとえば、接客の仕事を重ねる中で「自分の存在が誰かの癒しになる」と感じたり、育った環境からなのか、自然に高級クラブを受け入れているケースもあったり、あるいは単純に「思ったより楽しかった」という発見がきっかけで定着することもあります。入口は軽い気持ちでも、その後の一歩を決めるのは自分自身だというわけです。後編では、やりがいを見つけ、仕事を続ける理由へとつながったエピソードをお伝えします。
やっているうちにやりがいを感じた
六本木クラブローゼでは、「学費やローンの返済」など経済的な理由だけで入店する方もいます。中には、最初から「数か月だけ働いて辞める」と割り切って働き始める女性もいました。ところが、働き続ける中で思いがけないやりがいを見つけ、長期的に続ける選択をする女性もいました。
最初のうちはほとんどの女性が、ノリで接客をしながらその日を終えます。会話を楽しむ余裕はありますが、お客さんに対して深い洞察力を発揮して場内指名をもらったり、同伴出勤につなげることに苦戦をしています。しかし、仕事が板についてくると自然と場内指名をもらえたり、後日同伴出勤の約束を取り付けることができるようになったりと、「接客が楽しくなる」瞬間が増えていきます。すると「自分の存在が誰かの癒しになる」という手応えなども実感し始めるのです。
やがて自分のファンとなる常連のお客さんが増え、女性自身も「今日はどんな話題で楽しませようか」と工夫することが楽しくなります。「君がいるからこの店に来る」と言ってくださるお客さんが現れると、接客は単なるアルバイトではなく、人と人の信頼関係を築く大切な仕事だと理解できるようになったそうです。
こうした過程を経て、「お金のために短期で」と考えていた女性が、気づけば長期で働き続ける決断をするケースもありました。クラブローゼとしても、水商売が単なる収入源ではなく「自然と人を笑顔にしながら、自分の価値を実感できる仕事」へと変わっていく瞬間を見ることができて嬉しくなります。
両親が若い頃高級クラブで働いていた
クラブローゼで働き始める女性の中には、ご両親が若い頃に高級クラブで働いていたというケースもありました。母親がホステスとして、父親がボーイやスタッフとして夜の世界に関わっていた経験を持つ家庭では、クラブという場所は特別な偏見を持たれにくく、「一つの選択肢」として自然に受け入れたそうです。
こうした女性たちは、家庭の中で良い面・大変な面の両方を聞いて育っています。母親からは「お客さんと接することで学びは多いわよ」「一度はああいう世界で働いてみるのもいいかも」といった前向きな話。一方で父親からは「遅い時間の勤務で体調管理が必要」「金銭面には気を付けるべき」という現実的な忠告。どちらの視点も持っていることで、初めから夜の仕事を冷静に判断できる傾向があるわけです。
そのため、初めての体験入店でも過度に身構えず、ドレスや立ち居振る舞いを自然に受け入れる姿勢が見られます。実際に「ホステス時代の話をたくさん聞いていた」「気をつけるべき点を聞いていた」という女性もいて、最初の段階から大きな失敗をせずにスムーズに仕事を覚えたそうです。
クラブローゼのスタッフとして感じるのは、親の世代からの経験が「安心感」と「現実的な心構え」の両方を与えているということです。家庭の影響で富裕層が来店しやすい高級クラブを身近に感じ、無理なく仕事を始められる女性は、結果的に、収入が高くなりやすい傾向にあります。
意外と楽しかった
クラブローゼで体験入店をされる女性の中には、「厳しい上下関係があるのでは」「ノルマがきついのでは」と心配しているそうです。ところが実際に働いてみると、「想像していたより楽しかった」と振り返る女性もいます。
理由の一つは、スタッフの気さくなサポートもあると思います。経験のない女性には、水割りの作り方やおしぼりの出し方といった基本的な動作もしっかり教わりたいはずです。こういうこともスタッフが細かくフォローします。たとえ初めての接客で粗相をしても、接客中に小声で教えたり、自然に立ち回れるように支えてくれるため、大きな不安を抱え込む必要はないと思いますよ。
もう一つの理由は、会話そのものの楽しさです。六本木の高級クラブには経営者や専門職、海外経験のある方など、多彩なお客さんがいらっしゃいます。普段の生活では出会えない相手から、旅行や趣味、仕事の話を聞くうちに「時間があっという間に過ぎた」と感じる女性は多いと思います。緊張よりも新鮮さや刺激が勝り、「思ったより居心地が良かった」と驚かれる声はよくあります。
私たちスタッフの立場から見ても、「最初は怖そう」と不安に思っていた女性が、勤務後に「楽しかった」と笑顔で帰っていく姿を見て安心します。これは水商売が単なる労働ではなく、学びや発見を伴う仕事であることを示す一例だと言えると思います。
まとめ
六本木クラブローゼで働き続ける女性たちの声を振り返ると、共通しているのは「最初のきっかけはお金や偶然でも、続ける理由は気持ちの変化にある」という点です。
たとえば、始めは学費や生活費の補填といった現実的な目的であっても、接客を通じて「接客業の楽しみ方」や「自分の存在が評価される喜び」を知ると、仕事にやりがいを感じるようになると思います。親の影響で最初から夜の世界を身近に感じていた女性は、冷静に取り組むことで安定した働き方につながるケースが以外にも多かったでした。そして多くの女性が口にするのは「想像していたより楽しかった」という声。これは、夜の仕事が厳しさだけでなく、出会いや学びの機会を提供している証拠だと思います。
クラブローゼとしても、入店の理由はさまざまでも「続けるかどうか」は最終的に本人の判断に委ねられると考えています。働く中で、やりがいを見出し、無理なく続けられるスタイルを選べれば最高ですね。それが夜の世界で長く活躍できる女性に共通するポイントです。